清水文太なんで?

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清水文太×コムアイ
–迷惑はかけていい–

こんにちは。はじめまして!清水文太です。
「清水文太のなんで?」を始めます!
podcastで様々な人と話した中で「なんで?」と感じたことをテーマに文を綴る。
僕がBOTCHANといっしょにやろう!と声をかけて始まった、連動企画です。宜しくお願いいたします!

はじめてのゲストは、アーティストのコムアイ。
元々僕は水曜日のカンパネラというグループのスタイリストを10代の頃からしていて、彼女は歌唱担当をしていました。僕の人生の彩度を上げてくれた、大切な人です!
現在彼女はブラジルに滞在しているので、画面越しの遠隔対談となりました。

話していく中で「なんで?」が広がったのは、日本とブラジルのコミュニケーションの違いでした。
コムアイ自身、最近玉突き事故のようなトラブルがあったそうで、以前の人との接し方だったら、何も言わずに距離が離れていくのが自然だったのに、ブラジルでは全て開示をして、思ったことは全て伝えて、引きずらずに前へ進むそう。
その分痛みも大きいとのことだったが、そこで生まれる信頼感は大きな学びになったり、関わりの質が上がっていく。

それは他人に対しても同じことがいえる。
ブラジルでは、困っていそうな人が居たら「大丈夫?」とすぐに声をかけるけれど、日本では、たとえその状況に気付いたとしても「本当に困っているのか?勘違いだったらどうしよう、迷惑かな」と、考えてしまい、見て見ぬふりをしてしまう。
ただ、それは決して助けたくないわけではなくて、恥ずかしさや、奥ゆかしい優しさが反作用してしまっているのかなと感じた。
ただ、どちらも人助けをしたいことに変わりはない。外にどう表すかの違いなのだろう。
独特な同調圧力によって、互いの気持ちを探ることが日本では自然になっているように感じる。
そうなると、したいことや思ったこと、感じたことを表現したり、言葉にしづらくなり、演幕みたいに心を重く、隠してしまう。(もしかしたら、そこから生まれる関係もあるかもしれない。)

僕自身、10代の頃はその空気にとても苦しんだ。
本来、オープンに物事を話し、表現する性格だったのだが、家庭や社会、環境のせいにして閉じこもっていた。
でも、きっかけが重なって、沢山の人と出会い、前述したブラジル的コミュニケーションを無意識にして、少しずつ本来の性格を出せるようになった。
ただ、はじめはたくさん失敗したり、迷惑もかけた。
感じたことを言いすぎて、後悔したり、思ったことをうまく言語化できずに、相手に違うニュアンスで受け取られたりもした。ときには別れも経験した。
失敗から得ること、当たり前なことがきっと一番大切で、一番難しいことを知りました。
でも、そうしているうちに、意外と色々なんとかなることもわかって、自分に嘘をつかずに、自然体で生きています。
周りの人が僕の心を柔らかくしてくれた。
でも、そこに飛び込んだのは紛れもない僕であることを自覚することで大きな自信になった。
心が柔らかい人間がそばにいると気付くことは、とても大切なこと。
僕にとって、コムアイもその一人だ。本当に感謝している。
人々が少しずつ、そのきっかけを掴むために、どんな方法があるのか、みんなで考えたい。

「誰かを世話することは、とても楽しくもあるし、
自分が満たされることでもあるって自分で実感してるから。大丈夫、迷惑はかけていこう。」彼女からその言葉を聞いたときに、スタイリングをしていた頃を思い出した。
僕は当時スタイリングをしたことがほとんどなくて、彼女が抜擢してくれてなんとか這いつくばって一緒に全国海外ツアーを回っていて、経験がなかったり、僕が何よりも若くて、迷惑をたくさんかけている自覚があった。その時期に、コムアイから「私たちのことはいいから、社会に恩返しして」と言われた。それは僕にとって大きな安心になったし、携われて本当に良かったと感じられた。
巡ってきたタイミングは掴み忘れないように、これからもいろんな人に迷惑をかけながら、かけられながら生きていきたい。

皆さんは、迷惑をかけながらも自分が成長した、
みたいなことありましたか?
また、ブラジル的コミュニケーションはどう感じますか?僕とBOTCHANのInstagramで質問募集するので、教えてください!

PROFILE

清水文太

清水文太スタイリスト・アーティスト・執筆家

学生時代からアーティスト衣装・広告や多数ブランドのスタイリング、クリエイティブディレクションを手掛ける。
作家として、スポーツブランドNIKEとともに自分らしい色を見つけていくための絵本「みんなのいろいろ」を出版。
音楽活動にも力を入れ、電子音楽・和太鼓ユニット「清水文太とhina」を結成。SUPER DOMMUNEをはじめとした多数イベント出演・映像作品の音楽提供など、多岐にわたる活躍を見せている。

清水文太 OFFICIAL SITE

コムアイ

コムアイアーティスト

声と身体を主に用いて表現活動を行なっているアーティスト。日本の郷土芸能や民俗学、北インドの古典音楽に影響を受けている。主な作品に、屋久島からインスピレーションを得てオオルタイチと制作したアルバム『YAKUSHIMA TREASURE』や、奈良県明日香村の石舞台古墳でのパフォーマンス『石室古墳に巣ごもる夢』、東京都現代美術館でのクリスチャン・マークレーのグラフィック・スコア『No!』のソロパフォーマンスなど。水にまつわる課題を学び広告するアーティビズム・コレクティブ『HYPE FREE WATER』をビジュアルアーティストの村田実莉と立ち上げる。NHK『雨の日』、Netflix『Followers』、映画『福田村事件』などに出演し、俳優としても活動。音楽ユニット・水曜日のカンパネラを2021年に脱退。

コムアイ Instagram

清水文太×YoshimiO
–可愛がるための余白–

こんにちは。清水文太です。第2回目の「清水文太のなんで?」が始まりました。
ゲストは音楽家のYoshimiOさん! 一度しかお会いしたことがなかったのですが、勝手に僕と近しい部分があるなと思い、お声がけしました!出てくれて、嬉しい。
早速、対談で気付いたことを綴ってみる。
話の中で一番気になったのは「自分の可愛がり方」について。


それって、大事だけど、実は現代の人が一番できていないことなのではないかと思いました。僕がここ最近「なんで?」と感じることにもリンクする。それは「暇なことはいけない」という風潮だ。
言い方を変えると「忙しく過ごさなければならない」という強迫観念のようなものを感じる。
SNS、広告、人、音。沢山の要素が詰まった社会。なにかを成し遂げなければいけない、そのためになにかしなければならない。 そういう空気が、現代に生きる人を忙しくさせる要因になっているように思う。
都会で生まれ、その空気に慣れ、前回コムアイと話した「ブラジル的コミュニケーション」を覚える前の僕は、可愛がる余裕はなかった。というより、色んなことを無意識的に取り入れすぎて、容量オーバーだった。
そうなると、人とキャッチボールすることができない。

「なんで?」と思うものにぶつかったとき、議論できずに、怒りに任せて攻撃してしまうときもあった。
そんな状態になっていることになかなか気付けなかったが、あるきっかけで鎌倉に移り住み、仕事もある程度セーブして、人も音も少ない場所に過ごしたとき、初めて余白が生まれた。
いきなり、のんびり生活を始めたときは「何かしないと」と不安に駆られるときもあったが、慣れていくうちに必要な時間だと理解した。
それは決して怠けではなく、咀嚼できない物事を心の端っこに一旦置けるスペースを作ることに繋がる。

PODCAST内で、語っていることでまさに!と感じたことがあった。
日本語でも英語でもない、言葉になる前の言葉を
叫び、音を奏でるYoshimiOさん。


それを音源にし、CDを作る関係で、歌詞カードを作りたいと言われたことがあったそう。
理由がわからなかったそうだが「一個ずつ漢字に直して、書いてみたら、だんだん意味が出てきて、自分でまともに捉えてみたときに面白い現象が起きた」そう。
世の中には、理解できないと思うことも、とりあえず取り組んでみて全貌が見えたり、思いもよらない発見があったりする。
自分を可愛がり、毎日を大切に生きることのできる器を持っているからこそできることだと思う。

忙しすぎると、すぐに答えを出さなければいけないと焦りすぎて、大切なものを取りこぼしてしまうから。
でも、大きなきっかけでもないと、心にゆとりを持たせて現代社会を生きていくことは難しい。
そんなときこそ、忘れないようにしていることがある。
それは「今できること」をやる精神。
自分の行いに後悔することがあるかもしれないけれど、見えない将来に不安を抱えて、やらなかった後悔を一生抱えるより、やってみて「こうすればよかった」と感じたことを、学びの種にしていくほうがいい。

やりたいことを、できるときに、無理のない程度に向き合うくらいがちょうどいいのだ。そうすることで、

自分のキャパが広がっていって、少しずつ自分を可愛がる余裕が生まれてくるのだと思う。
「時間が解決してくれる。時間の流れに乗って、ある日突然、腑に落ちる時がやってくる」とYoshimiOさんが話していて、現代に生きる人々はそれを忘れがち。そう感じた。
忙しい心を手放して、自分の波に乗ることができたらそれでよい。
乗れなくても、また波が来るのを待てばいい。そう思います。

皆さんの、自分なりの可愛がり方や、余白を作るためにしていることがあれば、僕とBOTCHANのInstagramで質問募集するので、教えてください!
では、また次回!ありがとうございました。

PROFILE

清水文太

清水文太スタイリスト・アーティスト・執筆家

学生時代からアーティスト衣装・広告や多数ブランドのスタイリング、クリエイティブディレクションを手掛ける。
作家として、スポーツブランドNIKEとともに自分らしい色を見つけていくための絵本「みんなのいろいろ」を出版。
音楽活動にも力を入れ、電子音楽・和太鼓ユニット「清水文太とhina」を結成。SUPER DOMMUNEをはじめとした多数イベント出演・映像作品の音楽提供など、多岐にわたる活躍を見せている。

清水文太 OFFICIAL SITE

YoshimiO

YoshimiO音楽家

1986年UFO OR DIEを結成し、初めてドラムをたたきながらシャウトする初動から常にアバンギャルドにクリエイトし続ける。
1988年より30年以上BOREDOMSのコアメンバーとして作曲とアレンジ、ドラマー、ボーカリスト、キーボードリスト、トランペッターとして参加。
音楽制作において根幹となる器楽演奏や発声の方法までもが完全にオリジナルなメソッドで貫かれ、現在も自身のプロデュースバンドOOIOOや、ラーガコアバンドSAICOBABなどで独自の音楽性を展開している。世界中のアーティストとセッションを行い、映画音楽の制作やemeraldthirteenの服飾デザインもこなすポリフォニックな多層型アーティスト。楽器や音そのものから放たれるバイブレーションと素直に対峙することから始まる身体的反応を第一義としたプリミティブな表現を核に、同時代性を伴う鮮烈な色彩感覚を散りばめた、独自のエートスを獲得している。

YoshimiO Instagram

清水文太×手塚マキ
—社会の矛盾と向き合うために—

こんにちは。清水文太です!
第3回目のゲストは、Smappa! Group会長の手塚マキさん。
ホストクラブ経営以外にも、歌舞伎町の本屋さん、ゴミ拾いをするホストボランティア団体のリーダー、高齢者介護向けサービス、ケーキ屋さん等、沢山の事業を運営されたり、戦前の能舞台を購入されたり(!)とても多忙な方!出てくれて嬉しい。

今回、PODCASTで話したことと、僕の最近思う「なんで?」が繋がるなと感じたので、綴ります。それは「わかりにくいものを避ける」風潮です。

前回「沢山の要素が詰まった社会。なにかを成し遂げなければいけない、そのためになにかしなければならない」と書いたが、そう感じてしまうのは、評価基準が時代で変化したことが要因だと思う。

昔は、メジャーで分かりやすくかっこいいものも、深掘りして生まれた、ニッチで見たことがないものも両方「いいね!」といわれていたが、現在は、メッセージ性が強く、短く、キャッチーな、売れる存在の方がより好まれるようになった。
対して、わかりにくいものはよくないという風潮を感じる。
多様な方法で、考えや表現を発信できるようになったからこそ、個人がよりコンテンツ化されて、職業をはっきり書き、何をやっているのかを載せ、何者であるかを表す。

昔、僕は「職業」の付いた二つ名で呼ばれることが嫌いでした。
それだけで人柄の全てを決められているような気がして、言葉にできない不快感があったから。
とある仕事で、肩書は書かないでと伝えたら「愛媛県産のみかんと、みかんだったら、愛媛県産のみかんの
ほうが売れますよね?」と言われたことがある。
アイデンティティについて語るような広告出演の依頼だったにもかかわらず、資本主義的な外面の功績だけを求められた気がした。

当時は憤慨したが、今は理解もできる。
その方が沢山の人が観てくれるし、実際、そこから生まれるお金で、作品も継続的に作ることができて、生活することができるから。

対して、そこに迎合し、お金を生むためだけに分かりやすいものばかり創ることは自分の意志と反する。
名前のない、曖昧なものにも魅力を感じるから。100人のうち1人にでも、伝わるようなものを生み出す気持ちも忘れたくない。
そんなジレンマと向き合うからこそ人生はより面白くなるし、社会と関わる意義がある。
そう思えるようになったのは、僕自身が経験を重ね、変化や矛盾を受け入れられるようになったからそう感じられるのだろう。


世の中をきちんと咀嚼し、酸いも甘いも味わったからできる視点を持って話してくれたマキさんは、人間が人間として生きる鑑に見えた。
その中で、合点した対話がありました。
「資本主義社会の中に僕たちはいる。わかりやすい、消費者に伝わりやすいものを作らなければならないという論理だよね。同じことをやるなら、時間も効率的に短いほうがいい。清水文太がどんな人間であるか、一分間で理解させなきゃいけない。僕もホストという肩書を活かしてきたのは事実。
常に矛盾してるというか、そんな綺麗には生きてないから。お天道様の下で堂々と私は潔白ですなん ていう人生を歩んでる人なんて居ないと思うんだよね。

矛盾を抱えてるのが人間らしい」
それでも、わかりにくいものを探求していくことを忘れないことも大切だと、話していて再認識しました。
「心の余裕を持つという意味では、ディグしているかもしれない。前は色んな文化に触れて新しいものを吸収してたけど、最近は、中心が和の世界になっていて。年を取っていくと、わかりにくいものに魅力を感じる。お茶を始めて4年目だけど、まだなにもわからないからね。一朝一夕じゃない、10年位経った時に、楽しくなるんだろうなと思うものに魅力を感じる。老いって、おもろい。」
そう語るマキさんは、とても純粋に、自分自身の探求に向き合っている。

わかりやすさ優先の世の中。沢山の矛盾にぶつかっても、誰かが、不本意な評価してきても。
自分のやり方を信じて、突き進んで行くことができたら、それでいい。

それを楽しむための処世術のようなものを、今回のPODCASTで学べました。ありがとう!マキさん。

皆さんが感じている社会の矛盾、またそれとの向き合い方があれば、教えてください。感想もぜひ!
では、また次回!ありがとうございました。

PROFILE

清水文太

清水文太スタイリスト・アーティスト・執筆家

学生時代からアーティスト衣装・広告や多数ブランドのスタイリング、クリエイティブディレクションを手掛ける。
作家として、スポーツブランドNIKEとともに自分らしい色を見つけていくための絵本「みんなのいろいろ」を出版。
音楽活動にも力を入れ、電子音楽・和太鼓ユニット「清水文太とhina」を結成。SUPER DOMMUNEをはじめとした多数イベント出演・映像作品の音楽提供など、多岐にわたる活躍を見せている。

清水文太 OFFICIAL SITE

手塚マキ

手塚マキSmappa! Group会長 歌舞伎町商店街振興組合常任理事

歌舞伎町でホストクラブ、バー、飲食店、美容室など十数軒を構える「Smappa! Group」の会長。歌舞伎町商店街振興組合常任理事。JSA認定ソムリエ。1977年、埼玉県生まれ。96年から歌舞伎町で働き始め、ナンバーワンホストを経て、独立。ホストのボランティア団体「夜鳥の界」を仲間と立ち上げ、深夜の街頭清掃活動を行う一方、NPO法人グリーンバードでも理事を務める。2017年には歌舞伎町初の書店「歌舞伎町ブックセンター」をオープンし、話題に。

手塚マキ Instagram

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